「SQL」は、データベース言語の一つで、データベースの定義や操作を行うことができます。エンジニアにとって、SQLを身につけることは必要なのか？について、本記事では解説いたします。

SQLは、「シークェル」または「シーケル」と呼ばれています。コンピューター言語のひとつですが、プログラミング言語ではありません。リレーショナルデータベース(RDB)のデータを操作するための言語です。
SQLはデータベース言語としてISO（国際標準化機構）で規格化されています。そのため一つのデータベース用のSQLを覚えたら、そのほかのほとんどのRDBで同じように利用できます。SQLの使えるデータベースには、Oracle社のOracle Database、Microsoft社のMicrosoft SQL ServerやAccess、オープンソースのMySQLやPostgreSQLなどがあり、それぞれ異なるデータベース・エンジンを搭載していますが、どれもSQLで操作可能です。
これまではRDBMSごとにさまざまな規格を使っていましたが、SQLに改名されてからANSI（米国国家規格協会）やISOで標準化されました。SQLの標準規格は現在も数年おきに改訂されています。

SQLは、下記のような操作を行うことが可能です。
・データの問い合わせ（検索）
・データの追加・更新・削除
・テーブル（表）やインデックス（索引）の作成・削除・定義変更
・データベースユーザーの権限管理

SQLは、業務アプリケーションなどが扱うデータを一時的に格納し、取り出して処理するために用いられます。また、システムのユーザーが業務で必要なデータを検索・閲覧したり、運用者がシステムの運用保守に必要なデータを確認したり、更新したりするために用いられます。

SQLは、すべてのITエンジニアにとって必ずしも必須となるスキルではありませんが、アプリケーション開発を行うエンジニアにとっては、アプリケーションが扱うデータの問い合わせや操作を行う際に、非常に重要なスキルです。

インフラエンジニアなどアプリケーション開発を行わないエンジニアにとっても、SQLを覚えておくことで、知識やスキルの幅が広がります。特にデータベース製品の構築業務などでは、管理用のSQLを実行する場合もあるので、身につけていると役立つスキルといえるでしょう。

SQLのみを必要とする案件は、平均的に50万円前後の単価感となっております。しかし、Java×SQLや、BIツール×SQLなど、開発者やデータ分析を行うエンジニアがSQLを身につけておくと、70万円以上の高単価案件が狙えるスキルとなっております。

SQLだけではなくデータベースの勉強にもなるため、エンジニアの業務知識として必要なデータベースの知識を網羅的かつ体系的に学べるというメリットがあります。
SQLに関連する代表的な資格を、以下の通りご紹介させていただきます。

「ORACLE MASTER」は、オラクル社が実施しているデータベース認定資格で、世界的にシェアの大きいOracle Databaseの運用管理およびSQLのスキルを認定する資格です。

ORACLE MASTERの資格体系は、DBA（データベース管理）とSQLに大きく分かれており、SQLだけではなく、データベースの知識も必要とされます。
また、ORACLE MASTERは難易度に応じて、4つの資格が分かれています。
※Bronze（基礎レベル）/Silver（アソシエイトレベル）/Gold（プロフェッショナルレベル）/Platinum（マスターレベル）

「Bronze」と「Silver」は、実務経験がなくても、体系的な学習と設問に慣れることで十分合格に手が届くレベルといえますが、Gold以上は難易度の高めとなるため、データベース設計・構築・チューニングなどの実務経験があることが望ましいでしょう。

「MySQL認定資格」は、オラクル社が実施しているデータベース認定資格です。オープンソースのデータベース製品としては、世界で最も普及しているMySQLの管理スキルやSQLのスキルを認定しています。
2022年11月時点では、以下のようなMySQLの認定資格が提供されています。

MySQL 5.7 Database Administrator
MySQL 5.6 Developer

試験では、SQLの知識およびMySQLのアーキテクチャ、設定、運用管理、セキュリティ、パフォーマンスチューニングなど、MySQLに関する全般的な知識が問われます。出題範囲から考えると比較的難易度の高い資格であるため、実務経験者向けの資格といえるでしょう。

OSS-DB技術者認定とは、オープンソースデータベースの1つの「PostgreSQL」に関する知識と技術があることを認定する試験です。
2022年11月現在で、SilverとGoldの2つのレベルがあります。

以下のような違いがあります。
Silverは初級者向けとなっておりますが、大規模プロジェクトやマネージャーとしてスキルアップしたい方はGoldに挑戦されることをお勧めします。
・OSS-DB Silver：PostgreSQLを利用したデータベースシステムの設計・開発・導入・運用ができる技術者であることを問う基本資格
・OSS-DB Gold：PostgreSQLを利用した大規模データベースシステムの改善・運用管理・コンサルティングができる技術者であることを問う資格

「データベーススペシャリスト試験」は、独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が実施している情報処理技術者試験の試験区分の一つで、データベースの技能の専門性を認定する国家資格です。

情報処理技術者試験の中でも、ITスキル標準（ITSS）が定める「レベル4」に位置づけられる「高度な知識・技能」を認定する難易度の高い試験です。　そのため初心者には合格が難しく、基本的にはデータベースの運用管理、データモデル設計、SQL開発経験がある実務経験者向けの資格といえます。

データベースの設計・構築・運用・管理を行うデータベースエンジニアになるには、必須のスキルとなります。しかし、SQLはプログラミング言語とは異なり、データベースの世界において寡占状態にあります。RDB用言語としては事実上、SQL以外にほぼ選択肢がない状態が続いています。そのためシステムの新旧に関わらず、依然としてSQLのスキルが役立ちます。

また、AWSではデフォルトのRDBとして、MySQLが採用されるように、クラウドサーバーにも移行した場合でも必要とされるスキルであることは間違いありません。　データを扱うデータベースエンジニアにならずとも、エンジニアとして身につけておくと、どこかで役に立つスキルであることは間違いありません。