近年目まぐるしい発展を遂げるAI技術の実用化。
2014年、英オックスフォード大学で「AIと未来の雇用について」研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が、近い未来に今ある仕事の約50％が機械や人工知能（AI）によって置き換わり、多くの人が職を失うという論文を発表しました。

しかし、マーケティングに関わる多くの事業家たちは、AIの技術革新が進んだとしても「営業職はなくならない」と発言しています。
なぜ営業はAIに置き換えることが難しいのでしょうか。

2014年の論文発表からもうすぐ10年、AIは一般人にも馴染み深いものとなってきました。
ソフトバンクに『ペッパー君』が登場した当時は、とても話題になりましたが今では当たり前になっていますよね。

ホテル業界では“世界初のロボットが働くホテル”としてギネス認定された『変なホテル』を皮切りに、フロントマンや一般オペレーター業務が一気に自動化が進んできています。

今後のさらなるAIの発達で、ホテルマンをはじめとする接客業やスーパーやコンビニの一般業務、さらには警備員・工場員なども、全て人の仕事ではなくなると言われています。
既に空港などで警備ロボットが導入され、工場では多くの製造ラインの自動化が進められています。

さらに銀行においても、キャッシュレス化や管理・計算の面からも銀行員の業務はAIの仕事に完全に置き換わると想定されています。

直近では米で運用が開始された『無人タクシー』が話題になりましたが、車以外の電車・新幹線の運転手なども自動運転への移行が進められています。
これを聞くと確かに、今ある仕事の多くがAIの発達により無くなっていくというイメージが湧いてきました。
それでは本題です、このような未来に本当に営業は無くならないのでしょうか。

営業が無くならないと言われる理由は、AIでは置き換えることのできない高度なコミュニケーション能力が必要になるためです。

営業における高度なコミュニケーション能力とは、以下のようなものです。

営業は、顧客の課題やニーズを引き出して製品やサービスを提案する仕事です。
ヒアリングをもとに顧客の細かな状況に寄り添い、必要な知識と条件を把握して製品を提案します。
この複雑なプロセスは、AIでは対応することができないと言われています。
また、顧客との信頼関係を築くことが大切ですので、人が相手だからこそ感情が動き購買意欲が高まるという部分については、いくらAIが優秀とはいえ置き換えることができないでしょう。
また、専門性が高い知識や最先端でまだ世に出回っていない情報などはAIで得ることはできません。

いくらAIが発達しても、最終的に製品やサービスの購入を決めるのは人です。
そのため、営業は相手の表情や声のトーンから感情を汲み取り、効果的な駆け引きや適切な対応を行う必要があります。
このように、人の感情を察して行動することや、信頼関係を築くという繊細なコミュニケーションはAIには難しいことでしょう。

とは言え、商材や業種によってはAIに置き換わってしまう営業もあります。
例えば、顧客の依頼に対して製品を提供するだけの営業、いわゆるインバウンド営業は、AIの発達によりなくなる営業と言えます。

今回は、どれだけAIが発達しても営業という仕事が無くならない理由について解説しました。
人が相手だからこそ、状況や感情に温かく寄り添うことができる。それがAIに置き換わることはない、ということがわかったのではないでしょうか。
しかしその一方で、営業方法によっては、今後のAIの発達によっては人が対応する必要が無くなってしまうかもしれません。
長く生き残っていくために高い傾聴力や提案力を身に着けることが大切です。